ブスの明るい提案

私は昔、年上の男性に遊ばれて大失恋をしたことがあります。今回はその話をしてみようと思います。

 

寂しくて仕方がなかった頃、受験生だったAくんとSNSで知り合いました。Aくんは年下で、ストレートに物を言うところがありました。猛アタックされたのが本当に嬉しくて、私は彼と付き合うことにしました。「初めての彼女だ」と嬉しそうにしてくれたAくん。初デートは水族館に行き、話題のパフェを一緒に食べました。「そうそう、こういうデートを好きな人としてみたかったの!」誰かの彼女になった自分が誇らしく思えてきて、しばらく私は浮かれていました。彼が進学してからも、よく長電話をしました。

 

ある日、Aくんにこう言われました。「新しくできた友達が、俺に彼女がいるってことを信じてくれない。今度そいつと遊ぶ時に、電話に代わってくれる?」後日その通りにすると、彼は嬉しそうに代わってくれました。「私がいることで、Aくんは喜んでくれるんだ」と私も嬉しくなったものです。ところがそれは大きな勘違いでした。Aくんは、受験から解放されたからかどんどん調子に乗り始めました。それはいいのです。気持ちはよくわかります。彼はサークル活動で忙しそうだったので、私は通話ができる時間を大切にしていました。疲れたAくんをいたわり、「優しいね」と言ってもらえるのが嬉しかったです。

 

しかし、徐々に私は欲張りになっていきました。私たちは数ヶ月に1回という頻度でデートをしていたのですが、手をつなぐレベルから進展がありません。「そういえば、彼の地元に行っていない」と思いつき、電話で「そっちに行こうか?」とAくんに提案してみました。すると彼は「じゃあ、いとこだっていうことにしよう」と提案してきました。「なんで?」と笑い飛ばして聞かせたものの、私は傷つきました。なぜなら、私は昔から「美人ではない」と自覚していたからです。「いや、別に。恥ずかしいから」とAくんは答えました。私は話題を移し、努めて明るく電話を切りました。

 

季節が移り、付き合ってから1年が経とうとしていました。その頃になると、私のメッセージは質問の形をとるものが増えていきました。そうすれば会話が途切れさせないためです。「このままではいけない」というのは感じとれていました。もうすぐクリスマス。Aくんに、私らしくない提案をしました。「イルミネーションを見に行こう!」きっと現場はカップルだらけに違いありません。ムードに流されたかったのです。

 

当日、Aくんは真冬だというのに手袋を着けずにやってきました。人込みのなか、私は彼の隣を死守し、荷物を反対側に持ち続けました。手をつなぎたかったのです。しかし彼の両手はお留守のままでした。お互い実家暮らしだったので、帰りが遅くならないようにアトラクションを観覧車に絞りました。当然のことながら、前も後ろもどこもかしこもカップルに包囲され、私たちは延々としゃべり続けました。周りの恋人たちは言葉少なく互いの指を絡めていました。「寒い」。寒くてたまりませんでした。ようやく観覧車の順番がまわってきて、私は広い光の海を見下ろしました。ここで私は勇気を振り絞り、Aくんの冷えきった手を両手で包みました。彼は少し私を見ましたが、無言でした。「寒いね」。「わ、冷たい」。私はこの時、本当は何を言えばよかったのでしょうか。それとも、何も言わなければよかったのでしょうか。

 

その後、私はAくんに「別れようか」と提案しました。彼は「わかった」と言いました。私も「わかった」と言いました。私たちは実に気が合います。